「本を速く読むこと=速読」には多くのメリットがあります。
たとえば次のようなものが考えられます。
- 頭の回転が速くなり、論理的思考ができるようになる(IQの向上)
- 話題が豊富になり、コミュニケーション能力が向上する
- 仕事のスピードが速くなり、年収アップが期待できる
- 認知症の予防、心身のアンチエイジング
- あらゆる能力(集中力、記憶力、推理力、想像力、連想力等)が活性化される
- 読まなければならない書籍、仕事の資料が速く読めるようになり、他のことに時間を割ける
1分間に何文字以上読むことができたら「速読」と呼べるのか、明確な定義はありませんが、分速数万字~10万字、なかには100万字以上読める超人もいるそうです。
とはいえ、一般的な人(分速400文字~800文字)の5倍以上のスピードで読めるのなら、速読をマスターする価値は十分あるといえるでしょう。
速読力は多読力。情報量は多ければ多いほどアドバンテージです。
メリットいっぱいの『速読』の基礎知識

日本の速読ブームの火付け役は「キム式速読術」
「キム式速読術」とは、1980年代に一世を風靡した速読法で、文字をそのまま「画像」として右脳に焼き付けて記憶する方法でした。
実はこの「キム式速読術」、同じ韓国発祥の「パク式速読術」の模倣だということです。
「パク式速読術」は文字を「画像」としてとらえるのではなく、一字一句速く読み取る技術のようで、仮に模倣が事実だとしても両者はかなり違いますね。
アメリカ発「フォトリーディング・ホールマインド・システム」
「フォトリーディング・ホールマインド・システム(フォトリーディング)」は、1985年にアメリカ人ポール・シーリィ博士が開発した速読メソッドです。日本に上陸したのは2001年ごろでした。
フォトリーディングは1ページにつき1秒間で、文字を「画像」として眺め、見たものをそのまま「右脳」に記憶します。
5分ほど眺めた後、記憶したキーワードとなる言葉を思い思いのデザインで30分ほどかけてノートに整理し、記憶を定着させます。
体験者によると、フォトリーディングは右脳を刺激するため、記憶を鮮明に呼び起こすことができたり、ひらめきが増えたりするそうです。
高速でページをめくっても、「欲しい情報だけ」が次々と目に飛び込んでくるので、慣れると通常の10倍のスピードも可能だとされています。
「速読」を通常のスピードと比較してみよう
筑波大学名誉教授の佐藤 泰正氏によると、人が文章を読むスピードは1分間に400~800文字だそうです。
800文字が限界だとされるのは、本を読むときほとんどの人は、心のなかで音読する習慣があり、その音読の限界が1分間に800語だそうです。
「速読」をマスターする場合は、「音読」をやめブロック単位で文字列をとらえる「視読(しどく)」の習慣をつけなければ、この800文字の限界を超えることは難しいとされています。
読書の方法には以下のようなものがあります。
① 素読 | 寺子屋で子供たちが「論語」などを声に出して読むこと。 | 分速2~300文字 |
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② 精読 | 文字を一字一句注意深く読むこと。法律の条文を読むときなど。 | 分速300文字前後 |
③ 熟読 | 一般的な読み方。文章を味わい楽しみながら読むこと。 | 分速400文字~800文字 |
④ 速読 | 「情報を得る」ためなど、目的に応じて使う。 | とくに定義なし |
私の場合は、キーワード(多くの場合、漢字とカタカナ)を拾い、それを瞬時につなぎ合わせて内容を理解していく速読法を利用しています。(必用な情報だけを拾う「収集速読」とキーワードを拾っていく「確認速読」の混合型)
もちろん速読は、「情報を得る」ことが目的の書籍の場合のみで、宮沢賢治や芥川龍之介等の文学作品は通常のスピードで熟読します。
速読のスピードに明確な定義はなく、基準は「練習をする前の自分の速度」となります。
2倍の速度で読めるようになっても、本人が満足すれば立派な速読といえます。
知らない間に速読をしている新聞
新聞の朝刊の文字数は約30万文字あり、平均的な速度(分速500文字)で読むとすれば、10時間もかかってしまいます。
にもかかわらず、「新聞を隅から隅まで読んでいる人」は結構大勢いるのではないでしょうか?なかには朝食を取りながら、15分で読み終えてしまう人もいます。
新聞には見出しや写真の配置など、読者が自然に「速読」しやすい工夫がしてあり、私たちは知らず知らずのうちに「速読」をしているのです。
「情報を得る」目的の書物には100%の理解は不要。新聞や書籍には、自身にとって必要でない情報も多数含まれます。
自分にとっての価値を瞬時に見極めることが、速読の極意だといえそうです。
予備知識のないジャンルの書籍の速読は難しい
もちろん、辞書が必要な専門外の書籍や、まったく興味がわかない書籍の速読は当然難易度が高くなります。
速読のメリット① 年収アップ
日本人の半数近くは、まったく本を読まない
2019年2月~3月に3,590人(有効回答数1,960人/16歳以上の男女)を対象に実施した「文化庁の国語に関する世論調査」によると、1月に1冊も本を読まない人は47.3%もいました。
そして月に1〜2冊が37.6%、3〜4冊が8.6%、5〜6冊が3.2%、7冊以上読むと答えたのはわずか3.2%だったそうです。
しかも「今後読書量を増やしたい」と考えている人もそれほど多くはなく、5年前に実施された調査よりも、さらに減少しているのも気になるポイントです。
年収3000万円、高給取りの「読書量」は一般会社員の38倍

ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのような大富豪を含む富裕層と、年収300万円前後以下のビジネスマンの読書量を調べた研究データが、アメリカの「Business Management degree」に掲載されています。
それによると、富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読んでいましたが、年収300万円以下の人は、わずか2%でした。富裕層の86%が読書家で、富裕層の63%は、移動時間にオーディオブックやYouTubeを視聴しています。
そこで筆者が日本のデータを調べたところ、日本では、20代、30代のビジネスマンは、1ヵ月に平均0.26冊しか本を読んでいませんでした。しかし、30代で年収3000万円の人は、平均で9.88冊、本を読んでいます。その差は、38倍にもなります。(金川顕教著『年収1億円の神ルール10』(ポプラ社))
読書量と年収には明らかな相関関係があるようです。
たとえば、ソフトバンクの孫 正義さんは、起業して2年後に慢性肝炎という病で3年6か月入院していたのですが、その間に約4,000冊もの本を読んだそうです。
読者は、著者が体験した失敗も成功もリスクを伴うことなく追体験できるので、読書をすればするほど、成功しやすい体質になっていくのは当然のことです。
読書量が年収に直結するのは実業家の話であり、一般のサラリーマンの場合は、そこまで顕著に読書量と年収に相関関係がありませんが、読書することで、知識だけではなく、コミュニケーション力も向上し、会社のなかで一目置かれる存在になることは間違いありません。
忙しいビジネスマンが、ここまで多くの本を読了できるということは、みんな何らかの速読術を活用しているのでしょうね。
速読をマスターすることで、集中力や作業能率も向上し、資料に目を通すスピードも速くなるでしょう。
「仕事のできる部下」として、当然ボーナスの査定も変わってくるのではないでしょうか。
速読のメリット② IQ(知能指数)の向上

みなさんもご存じだとは思いますが、読書(速読)はIQ(知能指数)を向上させます。
知識量ではなく、頭そのものがいいことを地頭がいいと言うことがありますよね。それに似た力をIQという数字で計測することもあります。 IQは実は生まれつきではないことがわかっています。鍛えることができるのです。 IQを伸ばすのに必要なのは、何か一つのことに集中すること。しかも抽象的なことに集中できること。
その点、本を読むという行為は、集中力も高めますし、思考の抽象度も上がります。IQの高い人というのは、脳の背外側前頭葉前皮質という部分が発達してます。そこが刺激されます。脳も筋肉と同じで、使えば使うほど鍛えられるのです。(「塾と教育」2014年6月号/茂木健一郎)
脳科学者の茂木 健一郎氏によると、IQの向上には脳のDLPFC (前頭前皮質背外側部)を鍛えることが効果的だそうです。
DLPFCは集中力を発揮しているときに使われる回路で、読書(速読)により発達します。
「頭のいい人」として思い浮かぶのは、記憶力というより、次々に新しいアイデアが出てきたり、どんな問題も冷静にサクサク対処できる「頭の回転の速い人」のことですよね。
読書(速読)は脳細胞が活性化され、脳細胞同士の密なネットワーク(頭の回転)に役立ちます。
速読のメリット③ アンチエイジングに効果あり
動体視力アップと視幅拡大で交通事故防止に効果あり
速読の訓練を続けると動体視力が鍛えられます。子どもでも大谷翔平選手の剛速球(165キロ)にバットを当てられるレベルまで向上します。
また、速読は一字一字文字を追っていくのではなく、最大1ページを「ブロック」として目に焼き付けます。そのため視野が広がります(視幅拡大/しふくかくだい)。
速読は認知症予防にも効果あり
人間の脳には千数百億個もの脳細胞がありますが、1日に10万から20万個ずつ死滅しています。
友だちとの交友やゲーム、パズル、囲碁、将棋、そして読書など、日ごろから頭を使う習慣のある高齢者は、認知症を発症しにくいとされています。
多くの本を読むことによって、次々に新しい知識が増え、日々の生活が楽しくなります。「楽しさ」こそ、若さと健康の秘訣ですね。
速読のメリット④ 偏った考え方から決別できる

大変残念なことですが、現在、約半数の日本人が1か月に1冊も本を読まないそうです。
一昔前は、電車内で新聞や本を読んでいる人をたびたび見かけましたが、今はほとんどがスマートフォンを操作しています。もちろんなかには、電子書籍を読んでいる人もいるでしょう。
2021年3月に株式会社ビズヒッツが10代から60代の男女500名にアンケートを取ったところ、電車通勤中にスマホを利用する人は93.8%でした。
電車通勤中にスマホでしていることは、1位SNSの閲覧や書き込み、2位ニュース・天気のチェック、3位ゲーム、4位メッセージ、メールのやり取り、5位お小遣い稼ぎ・副業、6位動画の視聴、7位音楽・ラジオを聞く、そして8位が電子書籍・漫画を読むでした。
Twitterは140文字以内ですし、この記事でも6,000文字程度です。今回テーマは「速読のメリット」ですが、「導入部分」しか紹介できません。
インターネットには限界があり、一つのトピックを深く知るにはやはり書籍が最適です。
速読で多くの書籍を読破し偏りのない情報を得ることが、人生をより豊かなものにするコツなのではないでしょうか。
速読のメリット⑤ 自由時間が増える
仕事のために読む書籍や資料なども速く読めるようになりますから、当然自由時間が増えます。
速読のデメリットは?

速読にデメリットがあるとすれば「本代が嵩むこと」「本の置き場所に困ること」と、「電車の中やカフェで読んでいると注目されてしまう」ことくらいでしょうか。
ただし、(受験を目的とする塾や予備校以外の)教育現場では、読解力が十分育っていない子どもたちに速読術を教えることは批判的です。
本が早く読めるようになれば、どんどん楽しくなり、どうしても本代がかさんでしまいます。ギャンブルやアルコールと違って生活や健康を脅かすようなことにはならないでしょうが、なるべく節約したいですよね。狭い部屋だと置き場所にも困ります。
そこで、次のような解決方法が考えられます。
- 紙本ではなく電子書籍にする
- 中古本を購入する
- 読了後に売却する
電子書籍にする
本棚に本が溜まって困っている人には、専用端末やスマートフォンで気軽に読める電子書籍がおすすめ。
印刷代や紙代、送料が節約できるため、新刊でも比較的リーズナブルに読書を楽しむことができます。
死後70年(2018年12月30日までは50年)で著作権は消滅しますので、宮沢賢治や芥川龍之介、太宰治など、明治や大正、昭和初期の文豪たちの作品は、無料で読めるものがたくさんあります。
Amazonには、「kindle unlimited(アンリミテッド)」という、月々980円(税込)電子書籍読み放題のサービスがあります。
取扱数は、和書12万冊、洋書120万冊とされ、もちろん、Amazonの全取扱数の一部になりますが、個人的にはとても良いサービスだと思っています。
ただしストックしておけるのは10冊以内。読んだものや自分には向いていない本はどんどん返却していきます。
中古本を購入する
Amazonや楽天ボックス等に提携している一般の書店から、場合によっては1円~+送料実費で中古本が購入できます。
「可」「良い」「非常に良い」「ほぼ新品」などの書籍の状態も確認できます。この評価はお店が決めているのですが、後々トラブルになるのは目に見えているので、極端ものはないと考えられます。
かびている、ひどい染みや臭いがある、汚れている、ページ数が不足している商品、または文字が読めない商品は、出品できません。また、サンプル用の冊子や校正前の原稿その他プロモーション用の本の出品は禁止されています。(アマゾン公式より)
規約もありますので、とくに神経質な人以外は、大丈夫かと思われます。
読了後に売却する
古本の買取は、宅配買取がおすすめ。
- インターネットから申し込む
- 段ボールに詰めて宅配便で送る
- 査定してもらう(査定額が不服なら返送してもらう)
- 入金を待つ
「買取王子」というお店なら、「1点以上買取可能」で送料が無料となり、査定に納得できなかった場合の返送料も無料のため、利用者さんたちに人気です。
買い取り金額が2,000円、3,000円以上にならない場合は送料が発生したり、返送料が発生したりする宅配買取店もあるので、ご注意ください。
https://love-comes-true.jp/sokunou/

今回は「速読のメリット」をご紹介しましたが、速読しただけではもったいないような気がします。
1200文字程度で要点をまとめたり、気の合う友だちに内容を話してみしょう。アウトプットすることで記憶が定着します。
とくに、大量の積読(つんどく)がある人は、速読を覚え再チャレンジすることで、新しい扉が開けそうです。